6 中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑円孔、加齢黄斑変性
物がゆがんで見えるのを「変視症:へんししょう」といいます。
網膜(眼の構造の図) の中でも特に黄斑部(眼の構造の図) の病気、あるいは網膜の周辺から
黄斑部まで病変が及んだ時におこります。
この分野は OCT により 診断、治療などが飛躍的に進歩しました。
中心性漿液性網脈絡膜症 (ちゅうしんせいしょうえきせいもうみゃくらくまくしょう)
Central Serous Chorioretinopathy : CSC
物を見ようとする時に中心になる部分である網膜の中の黄斑部というところが腫れて、
視力が低下する病気です。(眼の構造の図) の網膜とその外側の脈絡膜との間の膜
(色素上皮細胞)にいたみができ、水の流れがうまくいかなくなり、網膜が少し盛り上がり、
腫れている状態です。
30~40歳の男性の片眼におこることが多く、ゆがみ、軽い視力低下を訴えます。
原因は不明ですが過労や精神的なストレスが誘因と考えられています。
光凝固(レーザー光線)の治療が行われることもありますが、通常は休養、安静などで経過
観察を行います。 自然治癒した1/3に再発があるといわれています。
この病気で失明したりすることはありませんが、再発することがあり、また後遺症で後まで
物がゆがんで見えることがあります。
ちなみにA型の方に多いことが知られています。
CSC の眼底写真 と OCT画像
特発性黄斑円孔(とくはつせいおうはんえんこう)
やはり物を見ようとする時に中心になる部分である網膜の中の黄斑部(眼の構造の図)
というところに裂隙が入る病気です。
加齢に伴う硝子体の変化で生じると考えられています。
ゆがみあるいは中心のかすみなどが症状です。
自然治癒は期待できません。以前は治療方法がなく放置されましたが現在では積極的に
硝子体手術を勧める施設がほとんどです。
治療成績もかなり向上しています。
黄斑円孔の眼底写真 と OCT画像
加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)
やはり物を見ようとする時に中心になる部分である網膜の中の黄斑部(眼の構造の図)
というところが年齢的変化から傷んでくる病気です。
以前は欧米に多く日本にはあまりなかった病気ですが最近で日本にも増え、注目されています。
脈絡膜から発生する新生血管(:しんせいけっかん)と呼ばれる異常な血管を伴う滲出型と、
新生血管を伴わない萎縮型に大別されます。
現在のところ検査方法、滲出型に対する治療方法ともに進歩が著しい分野です。
加齢黄斑変性の眼底写真
上記以外にも、変視を伴う疾患は黄斑部網膜上膜、血管新生黄斑症、糖尿病黄斑症など
様々な疾患があります。